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歯周病と闘う

歯周病と闘う(山田歯科医院)
4月27日に産経新聞・からだのレシピに「歯周病と闘う」と題して、歯周病の危険性と予防法が概説されています。
このなかで、ブラッシングを補助する手段として、ガムを噛むことの有効性が紹介されています。
http://www.sankei.com/life/news/160426/lif1604260024-n1.html

口内細菌「バイオフィルム」 肺炎など重い病気の原因にも

2月5日の産経新聞に口腔内に存在する細菌のかたまりの影響に関する解説が掲載されています。

歯周病の全身への影響(山田歯科医院)
 
 複数の細菌が固まり、ぬるぬるとした状態になった「バイオフィルム」。口の中のバイオフィルムは、虫歯や歯周病だけでなく、肺炎など重い全身の病気の原因になることもある。(油原聡子)
◆菌の集合体
 東京歯科大の奥田克爾名誉教授(微生物学)によると、バイオフィルムであるデンタルプラークは複数の細菌の集合体だ。バイオフィルムは、細菌が周囲にねばねばした物体を作って個体がくっつき合い、集団になったもの。実はバイオフィルムは身近な存在だ。「台所やお風呂場の掃除をさぼると出てくる、ぬるぬるしたものも細菌の固まり、バイオフィルムです」(奥田名誉教授)
 注目されているのが、口の中のバイオフィルムだ。人の口の中には500種類を超える細菌がいるという。奥田名誉教授は「口の中の細菌は、唾液成分や歯と歯茎の隙間からにじみ出る成分を栄養源にして繁殖する」と指摘する。バイオフィルムは、ねばねばした膜で包まれているため、抗菌剤や免疫機能が効きづらいという特徴がある。
 口の中のバイオフィルムには、虫歯の原因となるミュータンス菌や、歯周病の原因となる細菌も集団で潜んでいる。その中で、全身疾患に関わりがあるとして注目されているのが歯周病原細菌だ。
 歯周病は主に歯周病原細菌によって起こる。歯の周りのバイオフィルムが、歯と歯茎の間の溝(歯周ポケット)を作る。炎症を起こして歯茎が赤く腫れるほか、出血が見られることもある。進行すると歯周ポケットが深くなっていき、歯を支えている組織に炎症が及ぶ。すると、口臭が発生し、歯を支える骨が溶けて歯がぐらつき、かめない状態になる。
◆高齢者は注意
 歯周病は日本人成人の7割以上がかかっているとされる。歯周病原細菌が関わっている病気で、高齢者が特に注意したいのが誤嚥(ごえん)性肺炎だ。
 誤嚥性肺炎は、歯周病原細菌などが唾液とともに肺に流れ込んで起こる疾病で、高齢者に多く発症する。通常は、唾液と一緒に飲み込まれた細菌は胃液によって「殺菌」される。寝ているときも唾液を飲み込む「嚥下(えんげ)反射」が起こり、細菌の気道への侵入を防いでいる。
 元気な人なら、せきなどによって細菌を排除できる。また、気道粘膜に生えている細かい繊毛(せんもう)によって唾液が肺に流れ込まないようになっている。しかし、高齢者は嚥下反射が低下しているため、細菌が肺や気管支に入り込んでしまうという。奥田名誉教授は「高齢者になると免疫力が低下し、抗菌作用のある唾液の量も少なくなり、歯周病になりやすくなる」と話す。
 歯周病原細菌が関係している可能性がある病気では、脳血管障害や心疾患のほか、糖尿病や低体重児の出産との関連も報告されているという。
 慶応大の中川種昭教授(歯科・口腔外科)は「歯周病原細菌が歯茎に入り込むと、歯茎を通る血管を通じて全身に回ってしまう」と説明。「口の中の細菌をコントロールするケアは、予防にも、治療後の再発を防ぐためにも重要だ」と指摘している。
◆眠る前のケアが大事
 口の中のバイオフィルムの予防には、毎日の歯磨きなどのセルフケアと専門家による定期的なチェックが重要だ。
 中川教授は「特に眠る前のケアが大事」と話す。バイオフィルムは、口の動きが少なく、刺激によって出る唾液の少ない睡眠中に増加。さらに、薬剤や免疫機能が効きにくいという。このため、歯ブラシやデンタルフロス、歯間ブラシで物理的に除去するのが有効だ。歯ブラシが届かない部分のケアには、抗菌性の高い洗口剤を日常的に使うと効果が高い。バイオフィルムが歯石になってしまうと自分で除去するのが難しく、歯科医院で除去してもらう必要がある。

バイオフィルムのケア(山田歯科医院)

健康ライフはお口から

健康ライフはお口から

待合室に、「健康ライフはお口から」と題したブラウンが発行したパンフレットがあります。
これは歯周病が全身の様々な病気に関係していることを、簡潔にまとめたものですので、ぜひお手にとってみてください。
このパンフレットに述べられている各項目の詳し解説は、「オーラルヘルスと全身の健康」という小冊子に記載されていますが、この冊子は、待合室の書架にありますので、時間があればぜひお読みください。
また、この冊子の第1版のPDFはダウンロードすることもできます。

口臭は歯周病を悪化させる

 これまで、口臭のある患者は歯周病の進行が速いという報告はあるものの、その詳しい仕組みは分かっていませんでした。このほど岡山大学のグループが、口臭の原因となる硫化水素が歯周病原因菌の出す内毒素に作用し、歯を支えている歯槽骨を溶かしてしまう破骨細胞が増えることで歯周病が悪化するというメカニズムをラットでの実験で突き止め、Journalof Periodontologyに発表しました。
Combined Effects of Hydrogen Sulphide and Lipopolysaccharide on Osteoclast Differentiation in Rats

 実験では、歯肉に(1)何も塗らないもの、(2)硫化水素を塗ったもの、(3)内毒素を塗ったもの、(4)硫化水素と内毒素の両方を塗ったものの4つにラットをグループ分けして、一日後に歯槽骨表面にある骨を溶かす「破骨細胞」を観察したところ、両方を塗ったラットでは破骨細胞の数が、何も塗らないものの約3倍、硫化水素や内毒素のいずれかを塗ったものの約1.5倍となっていました。両方を塗ったラットでは歯茎の細胞と歯槽骨の細胞でより強い反応が起き、破骨細胞が増加し、その結果歯周病が進行・悪化すると考えられるとしています。

口臭で破骨細胞増加(山田歯科医院)
(左)コントロール (右)硫化水素を歯肉に塗った後に歯槽骨表面に出現した破骨細胞

口臭には、舌表面の舌苔が関与しているといわれています。
舌表面を清潔にすることも、歯周病予防には必要と考えられます。



免疫力を低下・突然死を招く感染症

ためしてガッテン(山田歯科医院)

NHKの人気番組「ためしてガッテン」の6月22日放送分は、
免疫力を低下・突然死を招く感染症」と題して、歯周病と全身との関係をわかりやすく解説しています。

番組では、世界で最も患者数が多いとも言われ、日本でも7割の人がかかっている感染症「歯周病」は、全身に影響を及ぼすことが分かってきたことをトピックとして、特に糖尿病とは密接な関係や、歯周病菌が血管内に入ると血栓ができやすくなり、心臓病や脳梗塞のリスクを高めるという研究報告を紹介しています。

結論としての「少なくとも年に一回の歯科医院での定期検診」を心がけてください。

歯みがきペーストランキング

週刊文春6月30日号のコラム「今週のベスト10」に、“歯周病予防おすすめ歯みがきペーストランキング”が掲載されています。

歯周病予防のためには、磨き方が最も重要ですが、補助としてのペーストも大切です。
知らない製品結構あります、ご参考になさってください。

1位 ガム デンタルペースト     (サンスター
2位 クリニカ アドバンテージ    (ライオン
3位 クリアクリーン         (花王
4位 デンターシステマ        (ライオン)
5位 ハイテクト 生薬の恵      (ライオン)
6位 スミミネラルハミガキF     (ナチュラルサイエンス
7位 コンクール ジェルコートF   (ウエルテック
8位 クリーンデンタル センシティブ (第一三共ヘルスケア
9位 薬用シュミテクト 歯周病ケア  (アース製薬
10位 デンタルビューティケア    (ラブラボ

妊娠中の歯周病治療、早産抑制の効果なし

1996年に米国のOffenbacherらにより、初めて歯周組織の健康状態の悪化が早産および低体重児出産と関連があることが報告されて以来、我が国をはじめ世界各国で歯周病と早期低体重児出産(PLBW)との関連が報告されています。
しかし、歯周病とPLBWとは関連性がないとの報告も多く発表され、我が国の文献的検索でも関連があるという報告と無いという報告は拮抗しているものの、「妊婦の歯周病は早産を含む妊娠出産合併症率上昇のリスク因子とみなして歯周病検診、歯科受診を促すなどの対処が望ましいものと思われる」とされ、富山市と富山市歯科医師会では妊婦歯科検診を行って、妊婦・胎児の健康保持に努める事業を行っています。
ところが、先日驚愕の論文が発表されました。
原題「Obstetric outcomes after treatment of periodontal disease during pregnancy: systematic review and meta-analysis」BMJ 2010; 341:c7017 doi: 10.1136/bmj.c7017 (Published 29 December 2010)
この論文の冒頭で、
「Treatment of periodontal disease with scaling and root planing cannot be considered to be an efficient way of reducing the incidence of preterm birth. Women may be advised to have periodical dental examinations during pregnancy to test their dental status and may have treatment for periodontal disease. However, they should be told that such treatment during pregnancy is unlikely to reduce the risk of preterm birth or low birthweight infants.」と結論付けられてしまいました。
この論文は、歯周病を有する妊婦に妊娠後に歯周治療を行っても、全早産率・低出生体重児出生率・自然流産・死産率・全有害転帰発生率低下に対する妊娠中の歯周病治療の有効性が示されなかったとするメタアナリシスです。
ただ、この論文は、歯周病を有する妊婦と歯周病のない妊婦とのPLBWに対する検証は行ってはいません。
妊娠後に歯周病の治療を行ってもPLBWを防ぐ効果がないとすれば、妊娠前には歯周病を治しておかなければならないことになります。
健やかな赤ちゃんの誕生のためには、妊娠前にはお口のケアをきちんとしておき、妊娠後には歯周病にならないような定期的なチェックが肝要であることには変わりありません。

あなたの処方せん

あなたの処方せん

毎日新聞の健康コラム「あなたの処方せん」では、11月22日から5回にわたって、歯周病に関する記事が連載されています。
歯周病の原因と予防法、全身の健康・疾患との関係が、わかりやすく解説されています。
是非ご一読ください。

歯周病の病原菌が、死産の原因!

 米国のYiping W. Hanらは、妊婦の口腔内の歯周病病原菌により絨毛膜羊膜炎が惹起され、臨月の胎児が死産となってしまった事例を報告しました。
(原題:Term Stillbirth Caused by Oral Fusobacterium nucleatum Obstetrics & Gynecology (2010)115: p442-445)
 初産の臨月の妊婦が、「胎動が感じられなくなった」と緊急入院しましたが、残念ながら死産となってしまいました。妊婦は入院3日前から軽度の上気道感染症を患っていたものの、羊水漏洩・出血・異常子宮緊縮の既往歴はなく、出産前の各種ウイルス検査は、すべて陰性でしたが、妊婦は妊娠期間中、何度も歯肉からの出血を訴えていました。
 胎児には先天性の異常はなかったものの、胎盤は妊娠週齢を考えると相対的に小さく,子宮内膜の剥離層は壊死していました。胎盤培養試験では、口腔内細菌の一つであるFusobacterium nucleatumが検出され,胎児の肺や胃からも同じ菌が検出されました。DNA解析の結果、この細菌は、母体の口腔内の歯肉縁下プラークの中の菌と同一であることが確認され、この胎盤の細菌は、母体の口腔内に由来していることが、明らかになりました。
 これらの所見から、Han氏らは「口腔内の細菌を原因とする急性絨毛膜羊膜炎がおこり、この菌による内毒素血症で、胎児が突然死亡した」と結論付けました。

 歯周病が、早産・低体重児出産と関連があると1996年に報告されて以来研究が進み、最近は、歯周病は早産・低体重児出産のリスクファクターであることが広く認知されるようになってきていますが、今回の報告のように、歯周病の病原菌が直接胎児に影響を及ぼすという報告は殆どありませんでした。一方、歯周治療により、早産・低体重児出産が低減したとの報告は徐々に増えています。
 
 富山市では、妊娠期間中に一回の妊婦歯科健康診査を行っていますが、受診率はおよそ25%で、なかなか向上しません。
 少子化と妊婦の高齢化が急速な勢いで進行していますが、一人でも多くの赤ちゃんが健やかに誕生するためには、歯周病の予防・治療が重要であるとの認識を広めてゆかなければなりません。

歯周病に罹患すると認知症になりやすい!?

 アメリカ国民健康・栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey:NHANES-III)のデーターを解析した結果、高齢者においては歯周病の罹患と認知機能低下との間に関連性が見出されたことが、発表されました。
(J M Noble et al. Periodontitis is associated with cognitive impairment among older adults: analysis of NHANES-III J Neurol Neurosurg Psychiatry Vol.80(2009) p1206-1211)
 
 歯周病は歯肉に炎症を引き起こす歯周病病原菌による感染性疾患ですが、この炎症は全身に影響することが多くの研究で指摘されています。一方で,高齢者に多く見られる認知機能障害は、糖尿病など全身性の炎症と関連することも示されています。そのため、歯周病病原菌の全身への影響を歯周病病原菌に対する血清抗体価で評価し、認知症患者のスクリーニングに用いる記憶力テスト(EBMT)の結果との関連性に関しての解析が行われました。

 歯周病病原菌の血清抗体価に基づいて,①健常群 ②軽症群 ③中等症群 ④重症群の4群に分けて、EBMTの誤答率を健常群と比較したところ、軽症群で1.43倍、中等症群で2.03倍、重症群で2.89倍と,歯周病が重症になるほど長期的記憶力が有意に低下することがわかりました。また連続減算テストの成績も重症群において有意に低下していました。
 結論では、今後もさらなる検討が必要であるとはしたものの、「歯周病原性細菌による全身性の炎症反応が脳に影響し、認知機能障害のリスクファクターとなる可能性がある」と指摘されています。
 富山市歯科医師会は、富山市が行っている高齢者のパワーリハビリを効果的に行うためには、口腔機能を良好な状態に保つことが大切であると呼びかけていますが、「高齢者の思考能力を良好に維持するためには、歯科医院での口腔ケアが必要である」ということも併せて呼びかけていかなければなりません。