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歯石除去で心血管イベントのリスクが低下

 11月12日から米国オーランドで開催されたAmerican Heart Association Scientific Sessions 2011で、台湾のTaipei Veterans General Hospitalのグループが、過去に歯石除去を少なくとも1回受けたことのある人は、歯石除去を受けたことのない人に比べ心血管イベントのリスクが低く、歯石除去の頻度とリスク減少の程度は関連すること発表しました。(The association of tooth scaling and decreased cardiovascular disease: A nationwide population-based study)

 同グループは、心筋梗塞と脳卒中の既往のない台湾の住民約10万人を、過去に歯石除去を少なくとも1回受けたことのある歯石除去群約5万人と、歯石除去を受けたことがない非除去群約5万人の二つの群を、年齢・性別・既往症がほぼ同じになるように作成して、平均7年間、心筋梗塞と脳卒中の発生率と、歯石除去およびその頻度との関係を追跡調査しました。
 この結果、心筋梗塞・脳卒中および総心血管イベントの発生率は歯石除去群の方が有意に良好だったことがわかりました。また、歯石除去の頻度が多いほどイベントリスクが減少する有意な関連が認められました。
 以上のデータから、「毎日の歯磨きに加えて定期的に歯石除去を行うことにより、口腔内の衛生が保たれ、将来の心血管イベントのリスクが低下することが裏づけられた」と、同グループは結論付けています。

歯周病の治療をすると糖尿病の状態は改善するか?

医療情報サービスは11日、「糖尿病患者の歯周病」に関するトピックスを公開しました。
大阪大学口腔治療学教室の北村正博氏らが「歯周病の治療をすると糖尿病の状態は改善するか?」という疑問に対し、日本人を対象とした研究で歯周病治療により糖尿病が改善した結果が出ているものの、現状では、まだエビデンスの集積が不十分で、平成19年より広島県歯科医師会と広島大学大学院医歯薬総合研究科が共同で行っている、糖尿病と歯周病の関連に関する大規模な調査(Hiroshima Study)などの、大規模研究の結果に期待すると結論付けています。

腸管出血性大腸菌感染症(原因菌の解析)

本年4月に富山県を中心として発生した焼き肉チェーン店による集団食中毒事件では、181人の患者を出し、5人の方が亡くなりました。
この食中毒事件の原因菌の分析を進めている富山県衛生研究所細菌部の綿引研究員は、去る25日に開催された同研究所の研究成果発表会で、「原因菌として分離された菌の毒性は、過去の例と比べて、特に強いということはなかった」と発表しました。
この食中毒事件では、腎臓障害などを引き起こす溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症した重症者は32人と全体の17.6%に上り、1996年に大阪府堺市を中心として10000人を超える患者が発生し8名が死亡した集団食中毒事件でのHUS発症率1.3%と比べると極めて高いのが特徴で、この重症化率の高さの原因の解析に大きな関心が集まっていました。
事件発生直後は、この高い重症化率の原因として、強い毒素を作るタイプや毒素を作る量が多いタイプの菌である可能性が指摘されてきましたが、綿引研究員によると、患者から検出された菌を分析した結果、過去の複数の例と比べ、毒性が強いわけでも、毒素を作る量が多いわけでもないことが明らかになりました。
今回の重症化の原因としては、菌の摂取量が多かった可能性があるのではないかとし、さらにO111に加えてO157という二種類の腸管出血性大腸菌が感染したことも関係があるのではないかと考えられるとし、今後一層の解析が必要であるとしています。
同研究所は来年1月、新型の遺伝子解析機器を導入し、今回の食中毒事件の原因菌の解析に活用する予定でいるとのことですので、さらなる成果の発表に期待したいものです。

「受診時定額負担」反対

受診時定額負担反対(山田歯科医院)

日本医師会日本歯科医師会をはじめとする、国民医療推進協議会は、現在政府が導入を検討している「受診時定額負担」という制度に反対しています。
この「受診時定額負担」とは、患者さんが医療機関にかかるたびに、現在支払っている窓口負担に加えて「受診時定額負担」という新たな負担を強いるものです。
受診回数の多い高齢者や病気がちの方ほど負担が大きくなり、受診を控えることで病状が重症化する患者さんが増えるおそれがあります。
患者さんに、現状以上の負担を強いることは許されません。
そこで現在、11月24日まで当院の窓口で「受診時定額負担」に反対する署名をお願いしています。
これ以上の負担を許さないためにも、受診時定額負担反対の署名運動にご協力ください。

この反対運動にご賛同いただける場合、下記のサイトから署名用紙をダウンロードして署名していただいたものを当院にお持ちになっても、日本歯科医師会に提出します。

http://www.med.or.jp/people/movement/

口臭は歯周病を悪化させる

 これまで、口臭のある患者は歯周病の進行が速いという報告はあるものの、その詳しい仕組みは分かっていませんでした。このほど岡山大学のグループが、口臭の原因となる硫化水素が歯周病原因菌の出す内毒素に作用し、歯を支えている歯槽骨を溶かしてしまう破骨細胞が増えることで歯周病が悪化するというメカニズムをラットでの実験で突き止め、Journalof Periodontologyに発表しました。
Combined Effects of Hydrogen Sulphide and Lipopolysaccharide on Osteoclast Differentiation in Rats

 実験では、歯肉に(1)何も塗らないもの、(2)硫化水素を塗ったもの、(3)内毒素を塗ったもの、(4)硫化水素と内毒素の両方を塗ったものの4つにラットをグループ分けして、一日後に歯槽骨表面にある骨を溶かす「破骨細胞」を観察したところ、両方を塗ったラットでは破骨細胞の数が、何も塗らないものの約3倍、硫化水素や内毒素のいずれかを塗ったものの約1.5倍となっていました。両方を塗ったラットでは歯茎の細胞と歯槽骨の細胞でより強い反応が起き、破骨細胞が増加し、その結果歯周病が進行・悪化すると考えられるとしています。

口臭で破骨細胞増加(山田歯科医院)
(左)コントロール (右)硫化水素を歯肉に塗った後に歯槽骨表面に出現した破骨細胞

口臭には、舌表面の舌苔が関与しているといわれています。
舌表面を清潔にすることも、歯周病予防には必要と考えられます。